2024年国内の米不足の現状と当社の取り組み
2024年(令和6年)の新米の季節がやって来ました。
九州から新米の出荷が始まる一方、スーパーの売り場から米が無くなるというニュースも取り上げられています。
今回はコラム第1号ということで、米の流通から今年の状況まで「米にまつわるいろは」をお届けします。
目次
当店での取り組み
米にまるわるいろは
米が食卓に届くまで(米の流通)
日本で流通しているお米は主に国内の農家で生産されています。米の品種は、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」など、地域ごとに適した品種が栽培されています。近年は温暖化の影響で暑さに強い品種も多くなりました。
米の収穫後は、主に農業協同組合(JA)に出荷する場合と、民間集荷業者が集荷する場合の2パターンがあります。集荷後品質検査を行い各地の米卸・米小売店を通じてスーパーマーケット等、レストラン等業務店に販売されます。
一方で、昨今は農家や精米業者が直接消費者に販売するケースも増えています。直売所やインターネットを通じて、新鮮な米を消費者に届けることができるため、特にインターネットを通じて全国各地から自分が好きな銘柄の米を購入し楽しむ人が増えています。
米価格の推移
過去30年間の日本の米価格の推移は、農業政策、気候条件、消費者の嗜好変化、市場の自由化など、さまざまな要因に影響されてきました。全体として、1990年代後半から2000年代前半にかけては自由化による価格の下落が見られ、その後は需要の減少や市場の変化に応じた価格の変動が続いています。最近では、品質やブランド米に対する価格の多様化が進んでおり、これも価格形成に影響を与えています。
日本の米価格は、国内外の経済状況、需要と供給のバランス、政府の政策などさまざまな要因によって影響を受け、長期的に見ると変動しています。
最近における米の需要と価格の動向
出所:農林水産省「米に関するマンスリーレポート」(令和6年8月)
米の価格はこうして決まる
1995年に食料管理制度が廃止され「食糧法」が施行されたことにより、農業者は米を自由に販売でき、価格は市場原理に合わせて設定されるようになりました。これにより、生産コスト、需給バランス、品質、政府の政策、輸出入状況など複数の要因が絡み合い価格が設定されます。
米の輸出と輸入
日本の高品質な米は、アジアを中心に輸出されていますが、輸出量は国内消費に比べてまだ少ないです。近年、グルテンフリーなどの健康意識の高まりから、世界的に日本食の需要が高まり、米を海外に売り込む動きが活発化しています。
一方輸入においては、日本は一部の米を輸入していますが、これは主に海外からの加工用や特定の用途に限られています。国内の消費はほとんどが国内産です。
<2024年米の流通に起こっていること>
米不足は本当か?
農林水産省発行のレポートによると、2024年6月末の民間在庫は156万トンと世の中から米が全く無くなったというわけではありません。
しかし、前年同期と比べると41万トン減少しており、これは例年の7月末時点の在庫量に近く、約1ヶ月分早く在庫が消化されているとも見ることができます。つまり、在庫が枯渇している訳では無いものの、需給がかなりタイトになってきていると見ることができます。
民間流通における6月末在庫量等の推移
出所:農林水産省「米に関するマンスリーレポート」(令和6年8月)
米の供給不足と価格高騰の背景
2024年の日本の米不足及び価格高騰に関して、主に次のような要因が影響していると考えられます。
- 気候変動の影響: 2023年の異常な高温により、特に米の品質が大きく低下したことが強調されています。米の粒が不均一になり、精米後の量(精米歩留まり)の低下や、業務用や加工品に使用される中米の大幅減により、市場に出回る米の量が減少したことで供給不足が生じています。
- 観光業の回復による需要増: 観光業の回復によって、ホテルやレストランでの米の需要が急増していることも、米不足に拍車をかけていると考えられます。特に、外国人観光客の増加による外食需要の増加も要因として挙げられていますが米不足の大きな要因ではないと思われます。
- 流通システムの変化: 集荷、流通の多様化が進みました。それによりちょっとした需給バランスの変化が販売価格、安定した供給に大きく影響しています。
消費者の行動: 米不足のニュースを受けて消費者が米を買いだめする動きが広がり、さらに供給が逼迫していることも一部報道では伝えられています。
今後の予測
上記のような米不足の状況に対処するため、米の輸入を増やす可能性があるほか、供給の安定を図るための政策を検討しています。但し、全体としての供給量は限られているため、価格が安定するまでには時間がかかると考えられています。
当店での取り組み
弊社は代々熊本県御船町、その他上益城郡を中心とした農家より米・小麦の集荷、肥料、資材等を販売しております。お米の販売先は米問屋、レストラン等の業務米、家庭用として販売しておりますが、10月11月の収穫時期にお米を仕入、その時の仕入れ量、質を確認いたします。それにより販売計画を立て、安定した量、質のお米のご案内ができるよう努めています。